原料を基準したウイスキーの分類

Barでお客様と接していると、私たちが当たり前のように使っている言葉や用語の意味が、必ずしも伝わっていないことに気づかされます。だからこそ、できるだけわかりやすい言葉で丁寧に説明することの大切さを感じています。ブログでも、ウイスキーに関する基本的な知識や用語の意味を分かりやすく発信していきたいと思います。

今回は「原料を基準としたウイスキーの分類」です。

簡単にまとめると以下のようになります。

原料がモルト(大麦麦芽)のウイスキーをモルトウイスキー
原料がモルト+その他の穀物のウイスキーを(広義の)グレーンウイスキー
モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたものをブレンデッドウイスキーと呼んでいます。   

少し詳しく見ていきましょう。

【1】モルトウイスキー(Malt Whisky)

  • 主原料大麦麦芽(モルト)のみ
  • 蒸留方式ポットスチル(単式蒸留器)
  • 特徴:香り高く複雑、コクがある
  • 主な産地:スコットランド、日本、アイルランド、台湾 など
  • ブランド例:マッカラン、山崎、グレンリベットなど

【2】(広義の)グレーンウイスキー(Grain Whisky)

モルト(大麦麦芽)以外の穀物が主原料のウイスキー全般を指します。ただし糖化の工程で大麦麦芽(モルト)は必要となるため原料全体の5~15%程度の大麦麦芽は使用されます

(広義の)グレーンウイスキーは、さらに以下の2-1~5のように分類されます。

◉ 2-1. (狭義の)グレーンウイスキー(一般的に言うグレーンウイスキーのことです)

  • 主原料トウモロコシ、小麦、大麦麦芽(少量)など
  • 蒸留方式:連続式蒸留機(ポットスチルでの蒸留も可)
  • 特徴:軽やかでクセが少なく、ブレンデッド用が主流
  • ブランド例:キャメロンブリッジ、インヴァーゴードンなど

◉ 2-2. バーボンウイスキー(Bourbon Whisky)

  • 主原料トウモロコシ(米国では51%以上)、ライ麦、小麦、大麦麦芽など
  • 蒸留方式:連続式蒸留機またはポットスチル
  • 特徴:樽由来のスパイス感、原料由来の甘味
  • 主な産地:アメリカ
  • ブランド例:ワイルドターキー、メーカーズマーク、フォアローゼスなど

◉ 2-3. ライウイスキー(Rye Whisky)

  • 主原料ライ麦(米国では51%以上)、大麦麦芽など
  • 蒸留方式:連続式蒸留機またはポットスチル
  • 特徴:スパイシーでドライ、個性強め
  • 主な産地:アメリカ、カナダ
  • ブランド例:テンプルトン、ホイッスルピッグ、アルバータなど

◉ 2-4. コーンウイスキー(Corn Whisky)

  • 主原料トウモロコシ80%以上(米国基準)、大麦麦芽など
  • 蒸留方式:連続式蒸留機が多い
  • 特徴:甘みがありソフト、熟成浅めのものも
  • ブランド例:プラットヴァレー、ジョージアムーンなど

◉ 2-5. ウィートウイスキー(Wheat Whisky)

  • 主原料小麦(米国では51%以上)、大麦麦芽など
  • 特徴:非常にスムースで軽やか
  • ブランド例:バーンハイム・オリジナルなど

◉ 2-6. ポットスチルウイスキー(Pot Still Whisky)

  • 主原料未発芽大麦(30%以上)、大麦麦芽(30%以上)
  • 蒸留方法:ポットスチルでの3回蒸留が多い
  • 特徴:オイリーで滑らか、アイルランド伝統のウイスキー
  • ブランド例:レッドブレストなど

〜さらに(広義の)グレーンウイスキーにはライスウイスキー、ソルガムウイスキーなど様々な原料を使ったものが存在します。

【3】ブレンデッドウイスキー

基本的にはモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたものを指す

ブランド例:シーバスリーガル、バランタイン、オールドパーなど

〜ただしアイリッシュブレンデッドウイスキーやカナディアンブレンデッドウイスキーのように広義のグレーンウイスキーをブレンドしたものをブレンデッドウイスキーと呼ぶこともあります。

*上記分類は、国によって分類の定義が異なったりと意外と分かりにくかったりするものです。ここでは、すっきりと部類できるように敢えて正確さにはこだわっておりませんので、不正確な記述もあることをご容赦ください。