ウイスキーづくりの世界には、少し不思議で心温まる存在がいます。それが「ウイスキーキャット」と呼ばれる猫たちです。もともとは蒸溜所に住みつき、穀物を狙うネズミを追い払う頼もしい番人として働いてきました。広い貯蔵庫の中で静かに歩く姿は、まるで蒸溜所の守り神のよう。長い年月を共に過ごすうちに、働き手たちや訪れる人々の心を癒やす存在にもなっていきました。スコットランドの蒸溜所では、代々受け継がれる「ウイスキーキャット」の物語が語られ、看板猫として親しまれた子もいます。近年では役割こそ減りましたが、今も蒸溜所の象徴として愛され続け、ラベルやグッズに描かれることも少なくありません。ウイスキーの香りに包まれた歴史の中に、こんな愛らしい仲間たちがいたと思うと、グラスを傾ける時間がいっそう温かく感じられます。
グレンタレット蒸溜所の「タウザー」
最も有名なウイスキーキャットといえば、スコットランド最古の蒸溜所ともいわれるグレンタレットで暮らした「タウザー」です。彼女は24年の生涯でネズミを推定28,899匹も退治したと記録され、ギネス世界記録にまで載った伝説の猫。蒸溜所には今もタウザーの銅像が立ち、多くのウイスキーファンが訪れています。まさに蒸溜所の誇りそのものです。

ハイランドパークの「モルト」と「バーレイ」
オークニー諸島のハイランドパーク蒸溜所では、「モルト」と「バーレイ」という名前の2匹の猫が人気者でした。名前はもちろん、ウイスキー造りに欠かせない原料にちなんでつけられています。観光客を人懐っこく迎える姿に、訪れる人々はウイスキーだけでなく猫たちの温かさにも癒されました。

クレンキンチーの「グレン」
エディンバラ近郊にあるローランドモルトの代表、クレンキンチー蒸溜所でも「グレン」という猫が活躍しました。麦芽を荒らすネズミを追い払う姿は凛々しく、蒸溜所スタッフからも大切な仲間として愛されていました。今も見学ツアーでは、ウイスキーキャットの存在がひとつのエピソードとして語られることがあります。
カリラの「Sushi(スシ)」
アイラ島にあるカリラ蒸溜所では、公式な番犬ではなく、「Sushi(スシ)」という名の猫が蒸溜所を見守っていました。フェス・アイラのような蒸溜所イベントで、人混みが静まると現れるその姿は、多くの来訪者の目を引く愛らしさだったそうです。蒸溜所の物語の一部として、今も語り継がれています。

トバモリー蒸溜所 — トディー
スコットランド本土のトバモリー蒸溜所には、トディーと名付けられた猫がいました。Facebookなどで地域の人気者となり、小さな伝説的存在となっています。
まとめ:蒸溜所の片隅で輝く、小さな守り手たち
ウイスキーを造る現場には、ただ美味しさや歴史だけでなく、こうした小さな守り手たちの存在にも心が温まります。ネズミ退治としての役割を超えて、蒸溜所に愛と記憶をもたらしてきた彼らのエピソードは、グラス越しの乾杯にも豊かな余韻をもたらしてくれます。

ちなみにWhisky Salon Rue du Barのウイスキーキャットは「トラ」と「ハチ」です。Barのどこぞに潜んでいるかも・・・



